遠足姫 Picnic Princess


「家に帰るまでが遠足です」

貝殻集めとクラゲの屍骸を踏み潰すのに夢中で、
クラスメイトの乗ったバスに、置いて行かれたわたしは、
遠足を終えることが出来なくなってしまいました。

でもわたしは海が好きで、こうして、ひとりで海岸をずっと歩くのが特に好きで、
もう、このままいつまでも帰らなくてもいいかなあって。
拾った昆布を浜にたくさん並べて干して、ただぼんやりとしていました。

不思議な魚に乗った男の子が海から上がってきたのは、もう日も傾き始め、
ずいぶん潮が満ちてきた頃だったでしょうか。
無言で差し出された青い手をうっかり取ってしまったとき、
ああわたしは何年もの間、ここで彼が来るのを待っていたんだ。
とすごく懐かしくて大切なことを、はっきりと思い出したんです。

ここは深い海の底なのかな?それとも神秘の森の奥なのかな?
わたしの遠足は、もうしばらく続くでしょう。

 
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